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TOP > SAMT-NETセミナー > ヤンデル先生の対比教室 第11回

第11回:教科書にコラム書いたらよんせんえんほどいただけましたので職業作家です

 初雪直後であります。原稿を書いているのはなんと 11 月 13 日でございます。年末進行で少し早めに書いております。お手元に届くのはいつでしょう。もしや年明けですか?本年もどうぞよろしくお願いいたします。前回・前々回に引き続き、大分にて開催された「北部九州エコーライン」でエコー技師さんから頂いた質問を基にお届けします。本日のお題は「肝臓癌( HCC )と転移性肝癌で見られる辺縁の低エコー帯、 halo の違いはなんですか?」。
 
HCC の境界部には高率に線維性被膜が形成されます。被膜そのものと、被膜によって圧排された周囲肝組織とが合わさって、低エコー帯になるのではないかと考えられています。つまり HCC の低エコー帯は「被膜+α」。
単純結節型 HCC
線維性被膜の形成は、 HCC や腎細胞癌など一部の癌に特有の現象です。これらの癌は、病変内にほとんど線維増生がなく(細胞密度が高く多血性)、原則として病変境界部にのみ線維性被膜が形成されます。腫瘍総論的には特殊な部類で、例えば大腸癌も乳癌も肺癌も線維性被膜を作ることはありません。かつてこの連載でお話しした desmoplastic reaction と呼ばれる線維形成は「病変内に」起こります。肝内胆管癌 ICC も病変内に線維化形成します。 HCC が「特殊」なのです。
線維性被膜はほとんどの症例で厚さがほぼ均一です。「ほぼ全周に厚さの比較的均一な低エコー帯があること」は HCC の診断根拠になり得ます。ただし、腫瘍が被膜を乗り越えて浸潤している場合や、分化度が低く増殖速度が速いために被膜の厚さが均一にならない場合は注意が必要です。下の図のような「単純結節周囲増殖型 HCC 」では、写真右上で被膜を超えるモコモコ浸潤像が見られます。このような症例をラジオ波焼灼(手術せずに焼いてしまうこと)すると、時に再発を来します。「被膜を超えるほどアグレッシブ≒悪性度がやや高い」。エコー形状だけで「生物学的な悪さ」を予測出来るわけです。
単純結節周囲増殖型 HCC
 これに対し、転移性肝癌で見られる低エコー帯様の像の解釈は、 1 対 1 の対比があまり行われていないこともあり少々難しいのですが、「 HCC のようなきれいな被膜ではなく、炎症・壊死が入り交じる中で形成された線維化」によるものと考えられます。下の図は大腸癌の肝転移で、黄色いところが壊死、やや透明感のある灰色っぽい部分が生きている腫瘍に相当します。
転移
 転移性肝癌は、「元々肝臓にいなかったものが外からやってきた」ものです。「生まれも育ちも肝臓である HCC 」に比べると、肝臓の血流・血管をうまく利用することができません。増殖すればするほど栄養補給が困難になり、どんどん壊死します。比較的強い炎症を伴うこともしばしばです。この「転移性肝癌は肝臓にとってビジター・他人である理論」は重要で、 HCC に比べて壊死傾向が強く、激しい炎症を起こすことを説明できます。低エコー帯も、汚い炎症や線維化が入り交じった不規則・不均一な被膜様構造によるものと予想されます……が。
実は、転移性肝癌の辺縁低エコー帯様構造についての対比はまだ甘いのです。この辺、 4 月の消化器がん検診学会超音波支部会の講演でお話できるかな?(※予告)  
( ・?・)印税もっとくれ :