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TOP > SAMT-NETセミナー > ヤンデル先生の対比教室 第18回

第18回:たぶん最終回(おこられなければ)

 病理医ヤンデルでございます。
突然ではございますが本号をもちまして、本連載を最終回にしようかと考えております。ただしまだ編集部との相談が済んでおりません。来週、平然とした顔で「こんにちは。病理医ヤンデルです。」と書き始めていたらお察し頂ければ幸いです。
最近、「消化管・拡大内視鏡対比」と「消化管・X線対比」という、最新技術と古典技術の両方で研究会に呼ばれる機会が多くなってきました。消化管診療において、時代はすっかり拡大内視鏡ですが、X線もまだまだ現場では活躍中。いずれも、「スクリーニング」から「精密検査まで」広く用いられるモダリティであり、多くの研究会が開催されています。
診断系の研究会が増えると、時折わたくしが呼ばれます。呼ばれる理由は「病理対比」をするためです。
臨床現場で実際に見ている画像が、「ほんとうは何を表していたのか」を知りたい。それを知ることで診断の精度を上げたい。診断理論を構築したい。
胃X線は、もう70年以上現場で用いられている息の長いモダリティですけれども、未だに診断理論の細かいディスカッションが繰り広げられております。X線の会は、どれもこれも非常に熱いです。「バリウムの線状の溜まり」一つを読むのに、何十分も激論が続きます。病理を細かく読み解いて、なぜ隆起しているのか、なぜ陥凹しているのか、なぜ見やすいのか・見にくいのか、じっくりと検討を進めていきます。
一方、拡大内視鏡の会も熱いです。まだまだ新しい分野で、ベテランの医師がうまく読めないことも稀ではありません。新人からベテランまでが横一線となって、病変の細かい模様や血管の走行などを必死に読み解き、病理と照らし合わせていきます。良悪の区別はつくか。癌の分化度は読めるか。範囲は読めるか。深達度は読めるか。一症例の検討に、一時間も二時間もかかることがザラにあります。
もちろん、超音波もだ……。対比の会、きっと熱いぞ。
そう思っていました。実際、いい会にいくつも参加しました。
最近は道外の会に呼ばれることも増えました。昨年はJSSで教育講演をさせていただき、本年は日超医でのセミナーを担当する……かもしれません(まだお返事してません)。
でも、この六年ほど超音波対比をやってみてわかったことがあります。
超音波対比は、極めようと思えばどこまででも行けるし、対比をおもしろがってくれる人々もすごくいっぱいいるけれど、「人数」で見てみると、それほど技師さんの興味を引いていない……ということ。
一般的なエコー技師さん達にとって、超音波・病理対比って、あんまり必要ないんじゃないかな……ということ。
胃がん検診のバリウム技師さんがあれだけ対比を熱心にやりたがるんだから、検診エコーやってる人だってきっと「対比」は知りたいだろう、「臓器や病変の形、色、性状」を知りたいだろう、「なぜエコーはこう見えるのか?」を知りたいだろう。そう思っていろいろやってきましたが、正直、思った以上に「根付かなかった」んですよね。
超音波を担当する技師さんって、けっこう入れ替わりが激しくて、若い人もばんばん入ってきます(特に非・循環器領域)。その分、研究会で発表するエースのような存在がなかなか育たない。病変の描出と、良悪の判定基準、記載の方法までを覚えるのに必死で、なかなか病理の結果まで頭が追いつかない。日常の業務で、そこまで詳しい疾病論が必要ない。
循環器エコーに比べると、腹部や体表エコーでは技師のできること・やるべきことに限りがありすぎるというのも一因かもしれません。理由は様々でしょうね。
二ヶ月に一度発行される「ころにぃ」で、「病理対比」の連載をしてきましたが、毎回頭をひねりつつも「結局これって技師さんの役に立つのか?」という疑問をぬぐえないままの、三年間でした。見切り発車すぎましたね。もうちょっと全体の流れをきちんと作って連載をしておけば良かったかなと、今では少々後悔しています。
超音波の世界でつながった多くの「診断オタク」の方々とは今でも仲良くさせて頂いておりますので、引き続き超音波・病理対比の仕事、さらに、超音波が見ているものの正体を教育する仕事は続けていきたいと思いますが、札臨技の機関誌に掲載する形でお送りしていたこのお仕事は、いったんおしまいにさせていただきます。
今までありがとうございました。このような場を与えて頂いた札幌臨床検査技師会の皆様方に感謝申し上げます。
なお、本連載を元に「いちから組み直した連載」が、とある雑誌で始まるかもしれません。企画段階でポシャったらごめんなさい。決まったらツイッターなどでご連絡致します。では、またお会いする日まで。 
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