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TOP > SAMT-NETセミナー > ヤンデル先生の対比教室 第4回

第 4 回:某大学の教授から来た仕事のメールの末尾に「 Twitter 見てますよwww」と書かれていて脳内騒然

こんにちは。病理広報アカウント・ヤンデルでございます。最近、実名より確実にこちらの名前の方が売れています。日経メディカル・ Cadetto からも取材が来ましたよ。まあ「医師の離婚特集」にて匿名医師 D さんとして呼ばれただけで、病理関係ないんですけど!

今日のお題は「消化管腫瘍」。同様の内容は本年( 2012 年)の 5 月に札幌にて開催された JSS 全国大会でも講演させていただきました。

シェーマをお示しします。このシェーマは、「腫瘍がどこから発生しているか」を表したものです。管腔臓器においては、まず第一に「層構造を把握し、腫瘍の主座がどこにあるか」を読むのが重要です。層構造を読むことについては、エコーは解像度・利便性など多くの面で他のモダリティよりも優れています。

a. 脂肪腫、 b. GIST 、 c. カルチノイド、 d. 進行癌、 e. 悪性リンパ腫に相当します。格子状の横長資格は固有筋層を表します。上から二番目の点線は粘膜筋板です。

a. 脂肪腫は粘膜下層が主座であり、粘膜筋板を超えて粘膜に入ったり固有筋層に浸潤したりすることはほとんどありません。 c. カルチノイドもこれと似ていますが、大きくなるにつれて固有筋層に浸潤することがあります。また、比較的早い段階から粘膜内にも侵入するため、粘膜表面に変化が現れます。

b. GIST は固有筋層から発生します。粘膜方向に突出することも、漿膜方向に突出することもあります。

d. 癌は粘膜内から発生し、次第に深部に浸潤していきます。進行に伴って粘膜には広い欠損(潰瘍)が生じますが、「先に破壊が終わったところから崩れていく」と解釈するとわかりやすいでしょう。

e. 悪性リンパ腫は粘膜や粘膜下層から発生し、結節を形成することも、粘膜に沿って広がることもあります。局在だけではなかなか悪性リンパ腫と断定するのは難しいのですが、悪性リンパ腫の場合は、極端な低エコーもしくは無エコーに近い低エコーを呈するというのが診断の一助になりますね。

 このように、各病変を局在から読み取るのが第一歩なのですが、悪性リンパ腫の項目でも説明したように、局在に加えて、内部性状を読み解くことで病変の質的診断を一歩進めることが出来ます。このとき、重要なのは「内部の均質性」です。

a. 脂肪腫は基本的に内部均質です。脂肪膜が規則正しく配列して音波を反射するため、均質な高エコーに見えることが多いです。

b. GIST は内部に空隙変性を伴うことが多いです。ある程度のサイズ( 2cm とも 3cm とも 5cm とも言われています)を超えると、まず結節の辺縁部などに「三日月状、くさび状」の空隙が出現し、そこに出血を伴ったりすることで嚢胞様の構造へと変化し、次第に腫瘤内に大きな欠損部を形成するようになります。空隙と出血の組み合わせによって、腫瘍内部には B-mode でムラが生じます。

c. カルチノイドは、組織学的には比較的均質な成分によって構成され、 desmoplastic reaction と呼ばれる腫瘍による線維化(連載第 1 回、 2 回参照)も少ないです。しかし、腫瘍細胞がリボン状や索状と呼ばれる比較的細いまとまりを作って浸潤を示すため、しばしば腫瘍細胞と間質が混じり合うような像を示し、エコーレベルとしてはやや不均質になることがあります。

d. 進行癌は激しくムラを生じます。ムラの原因は、「内腔面や比較的浅い面における壊死物質の存在」「深部における desmoplastic reaction (腫瘍が作る線維化)」「腫瘍腺管自体の形状が上と下で異なること」など様々です。

e. 悪性リンパ腫は、極端な低エコー・無エコーに近い低エコーで有名です。これは、異型リンパ球と血管以外の組織がほとんど増えないため、病変内が非常に均質であることに由来します。

 以上の説明を全てまとめたものが左にお示ししたシェーマなのですが、このありがたみをわかってくれる人があんまりいなくてさみしいので、本連載でもこうして出しちゃいますし、 11 月 10 日に岡山講演するときも持っていくことにします。畠先生って濃いですよね!いろいろ。

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