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TOP > SAMT-NETセミナー > ヤンデル先生の対比教室 第7回

第7回:丁寧に腫瘍の転移について説明した連続ツイートよりもおすすめのスープカレー屋さんのツイートの方が2倍伸びる

さあ新年度です、こんにちは。ツイッター以外の活動がほとんど知られていない野戦病院の足軽病理医、ヤンデルこと市原でございます。今年度も無事、原稿スペースをいただくことができましたので、「エコー画像と病理の対比」についてお話していきたいと思います。
今回お話しするのは「リンパ節転移」についてです。各種画像診断において、悪性腫瘍がリンパ節に転移しているかいないかというのは、それこそ死活問題です。しかし、術前に転移の有無を評価するのは本当に難しいですね。 
そこで、今日は「がん細胞が転移しているリンパ節いろいろ」を、組織標本で見てみましょう。用いるのは甲状腺癌のリンパ節転移症例、 3 例です。
がんが転移しているリンパ節は、画像的には、「腫大して、短径と長径が同じくらいになって、ひらべったいのが球系になっている」というのが基本です。 腫瘍細胞がリンパ節の大部分を占拠すると、パンパンに膨らんで、内部が壊死 してきます。どの臓器の癌でも基本はこうです。
しかし、たとえば甲状腺とか乳腺とか肺癌とか胃癌など、病理で「微小転移」を発見しやすい癌というのがあります。微小転移は、本当に画像で評価するのが難しい。
 
 甲状腺乳頭癌の患者さんの、気管前傍リンパ節です。右のリンパ節の長径が 1.8mm 。このリンパ節の、右側の黄色点線内が、乳頭癌の転移巣です。左にも似たようなサイズのリンパ節がありますが、転移があってもなくてもほとんど大きさが変わっていません。カタチも扁平なままです。ちょっと拡大してみましょう(右上の写真)。
 癌が腺管を作っています。間質に線維化は見られません。壊死もありません。甲状腺乳頭癌はこんなタイプの微小転移がけっこう多いのです(臓器や組織型にもよる)。大きくならない、硬くない。これを B モードだけで見つけるのは至難の業(というか無理)です。
 
もう一人、別の方を。先ほどと同じように甲状腺乳頭癌の転移症例です。右は左の写真を拡大したものです。
 
 こちらの方は、間質に強い線維化を伴った転移巣が形成されています。これなら硬くなるかも!血流もおかしいかも!でもこれ、転移巣の大きさはたった 1mm 。見つかりますか?例えソナゾイドを使っても難しいかも……。
 もう一人。今度はやや腫大したリンパ節です。
 
 長径は 1cm くらいあるリンパ節ですが、腫瘍はごく少量しかありません(黄色点線)。つまり、リンパ節軽度腫大の原因が腫瘍そのものではないのです。代わりに、リンパ節内の類洞(血液やリンパ管が通る部分)がやや拡張しています。おそらく、腫瘍がリンパ節に転移した際に、リンパ管を閉塞したのでしょう。
 リンパ節転移はこのようにさまざまな形態をとりますので、標本を見ないでエコーと診断文だけ付き合わせて「リンパ節転移の陽性的中率」を議論してもあまり意味がありません。原発部位や組織型によってもリンパ節転移の形態は少しずつ変わります。「文章だけでは伝わらない、エコー・病理対比の妙味」と言えばそれまでですが……。
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