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TOP > SAMT-NETセミナー > ヤンデル先生の対比教室 第9回

第9回:実習に来ている学生達が裏で俺のことを「ヤンデル氏」と呼んでいてちょっと恥ずかしい

みなさんこんにちは。前回の予告で、本日の原稿に「 JSS 松山」での発表内容を書くよと申し上げましたが、めんどくさいので変えます。すみません、フリーダムでして。
先日、わたくし、大分に行って参りました。北部九州エコーラインという「エコー合宿」に参加しまして、九重という温泉地で一泊。夕方 5 時半から 1 時間半の講演、その後夕食をはさんで深夜 2 時半くらいまでお酒を飲みながらエコー技師さんとガチ議論、翌朝 5 時半に起きて温泉・朝食の後、朝 8 時半から 10 時まで症例検討、昼の便で福岡空港から札幌に帰って参りました。いい会でした。
ただ、ぶっちゃけますと、せっかく大分まで行ったので、「もっと」勉強したかったです。飲み食いは楽しいんですけどね。飲むために集まるんなら、最初っから「飲み会」をやればいいんです。研究会と称してせっかく人が集まるんだから、どんどん疑問をぶつけあいたい。その意味では、大分の研究会は「ちょっとぬるかった」。とはいえ、熱心だった 7 , 8 人の技師さん、そして幹事の馬場先生には本当にお世話になりました。ありがとうございました。
件の研究会で、事前に「病理医ヤンデルに聞きたい質問」というのが募集され、 6 つの質問が寄せられまして、回答を作っていたら Powerpoint 170 枚くらいの立派なスライドになりました。今日はその中から、「質問と回答」を一つご紹介。
「消化管などで、炎症の波及に伴う腸間膜脂肪織の高エコー化と、腫瘍の浸潤に伴う腸間膜脂肪織の高エコー化には違いがあるのでしょうか?」

プレパラートで見る限りでは両者は明確に違うのですが、その違いがエコーで描出できるかというと、これはもう「非常に難しい」。理由を簡単にお話ししましょう。
とあるエコー・病理対比研究で M 病院の K さんと一緒に、「豚バラ肉に墨汁を注射」したときの病理画像をご覧ください(何してんだwwwとはおっしゃらずに)。
 
 豚のバラ肉の脂肪織の部分に、注射器で墨汁を注射すると、墨汁は「脂肪細胞・脂肪滴の隙間を縫うように拡散していく」ことがわかります。これにより、脂肪細胞と脂肪細胞の間隔が広がります。脂肪細胞がぴったりくっついていれば、音波を反射する境界面は「一面」なのですが、脂肪滴の間に墨汁が入ると、音波を反射する境界の数は「二面」になります。この豚バラを水浸下にエコー観察すると、脂肪織内の墨汁注入部のエコー輝度は上昇します。
実は、脂肪織内に炎症と浮腫が及ぶときも、これに近い変化が起きます。脂肪細胞の隙間に炎症細胞や水分が入り込んで、脂肪滴間が開大したり、脂肪細胞のサイズに不同性が生じることで、周囲よりも高エコーを呈します。同様に、脂肪織内に腫瘍浸潤が起こったときも、腫瘍細胞(及び腫瘍が導く細かい線維化)が脂肪細胞の隙間に浸潤・進展することで、エコーレベルが上がります(※線維量が増え、脂肪細胞が駆逐されるに従ってエコーレベルは変化します)。
脂肪細胞間の距離を開大させる理由が、「炎症・浮腫」によるものなのか、「腫瘍」によるものなのかは、顕微鏡を用いても拡大を相当上げないと鑑別が困難です。エコーでこれらの差異を見抜くには……さて、どうしたものか……。今のところ、お手上げなんですよね。
大分の研究会では、このような切れ味ある質問を 6 つも用意してくださいまして、ディスカッションも(一部で)大変もりあがりました。この成果は、来年名古屋で開催される JSS 全国学会の教育講演でお話できるのではないかと思います。対比病理のお仕事で、全国学会の講演をゲットできたのは幸せです。ツイッターばっかりやってるように見えて、ちゃんと仕事してますから。仕事してますから。

( ・?・ ) あそんでます→ Twitter :